建築のコト

大卒後すぐに二級建築士に合格したときの話【学校に通ったけど独学でも可能】

yuu(ゆう)

建築系の大学を卒業した方であれば、やっぱりすぐにでも建築士の資格取得を目指したいですよね。

わたしが建築士試験を受けた際は、まだ建築士法改正前でしたので、社会人になる前に一級建築士をストレート受験するには大学院に進学するしかなかったんですよね。
大学に4年間通って社会人になったわたしが卒業後にすぐ受験できたのは二級建築士までで、一級建築士試験を受験するには2年の実務経験の証明が必要でした。
現在では建築士法の改正に伴い、大卒後すぐにでも一級建築士を受験し、合格後に二年の実務経験を経て免許登録をすることが可能になりました。

ただ、一級建築士は試験の難易度も合格率のハードルも二級建築士の比ではないくらい高く、仕事に活かせる資格を早く取得するという意味で、二級建築士の取得から目指す方も多いと思います。

今回は、わたしが二級建築士に合格した際の経験をご紹介していきます。

この記事はこんな人におすすめ

  • 二級建築士の資格を取得したいけど、どうやって勉強すればいいか悩んでる
  • 独学か学校に通うか悩んでる
  • 二級建築士の資格取得がどのくらい大変なのか知りたい

はじめに

わたしが二級建築士試験に合格したのは、2014年のことでした。
結構前ですね。

試験の難易度や出題傾向などは以前よりも変わっています。
法改正や技術の進歩が目まぐるしいので、それに伴った新たな試験問題が出題される傾向も増えています。
ただ、合格へ向けての勉強方法や対策などは、基本的には変わらないと思っています。

わたしは二級建築士の資格取得にあたり、「総合資格学院」に通学して勉強をしました。
学校に通う選択をしたのは、独学ではモチベーションを維持できないと思ったからですね。
幸い、会社の同期の仲間も同じところに通っていたのでお互いに励まし合いながら勉強することができました。

資格勉強を経験してみての個人的な見解は、学科はやる気があれば独学でも可能、製図は学校に通った方が良いということです。
やっぱり学校に通った方が教材もしっかりしているし、製図に至ってはまとまった時間を取って取り組んでいかないと意味がないですからね。

建築士法改正による受験資格の緩和

資格勉強についての具体的な経験談をお話しする前に、令和元年度の建築士法改正に伴い緩和された受験資格の概要について簡単に説明しておきます。

あくまでこの法改正では、受験資格が緩和されただけで、建築士免許の登録要件は変更されていません。
受験資格の要件と免許登録までのスケジュールについては下の画像を確認してください。

国土交通省 新しい建築士制度の概要 より

二級建築士であれば大学卒業後すぐの受験・合格後の免許登録が可能です。
ここは以前と変わらないですね。
一級建築士の場合は、大学卒業後すぐの受験は可能ですが、免許登録をするまでには2年間の実務経験が必要になります。
以前までは、2年間の実務経験を経たあとでなければ受験ができませんでしたが、改正により合格後に実務経験を積んでも良いということになっています。

二級建築士試験の難易度と合格率

二級建築士試験の過去の合格率を見ていきます。

下の表は過去10年間の受験者数と合格者数、合格率です。

学科試験の合格率は大体30~40%程度。
その後の製図試験の合格率は半数程度ですね。
学科・製図を通しての合格率は概ね20~25%というところです。

近年は、人口減少と建築業に従事する人口の減少に伴って、将来の建築士不足が予想されるため、合格率は高めになっていますね。

建築士人口を回復させていく方向にシフトしていますが、逆を言えば資格があるのは当たり前でそこからどれだけ学んだかが重要視されていくという見方がより強くなっていくということですね。

二級建築士の合格基準点

二級建築士試験は、4科目(計画・法規・構造・施工)で100点満点の試験です。
合格基準点は合計60点が過去の合格者データから目安になっています。
それ以外に、各科目の基準点が設けられており、そちらはそれぞれ13点が目安ですね。

総得点が60点を超えても、13点に満たない科目があるとそれで不合格となってしまいます。
いわゆる足切り点と言われているものですね。
資格試験なので、満遍なく知識を持っていないと資格を与えられませんよということです。

この基準点は年度によって若干変わってくるので、資格学校なんかでは目標点を70点とかに設定して指導しているところがほとんどですね。

二級建築士の資格勉強のコツ

いよいよここから、二級建築士に合格するための勉強のコツをお話ししていきます。
1日何時間勉強すればとかいう話はしません。
1日1時間でも受かる人もいれば、1日5時間やっても受からない人もいるからです。
個人差がある上に密度の問題があるので、最低限何をすればいいかという点だけお話しします。

とにかく過去問を解く

4科目ある二級建築士試験ですが、基本的にはどの科目も共通して絶対やるべきことがあります。

それは「過去問」です。

基本的に建築士試験で出題される問題は、過去に出題されている問題である割合が大半を占めます。
確実に点を積み重ねていくためには、過去問を解くということが最重要事項になります。

二級建築士の問題では過去問に出題された内容がそのまま出てくることも多いです。
教科書の内容を全て理解した上で回答できれば一番良いのですが、過去問を解きまくって過去問を覚えてしまうくらいになれば、かなりの高得点が期待できます。

基本的には下記のステップのループですね。

[ptimeline] [ti label=”STEP1″ title=”テキストを読む”]まずはテキストを読んで内容の学習をします。[/ti] [ti label=”STEP2″ title=”過去問を解いてみる”]テキスト内容をある程度把握したら、過去問を解いて、学んだ内容をアウトプットできるか確認をします[/ti] [ti label=”STEP3″ title=”わからないところをテキストで振り返る”]わからなかったところはテキストで振り返り学習をします。次からはわからなかった部分に重点を置いて反復学習していきます。[/ti] [/ptimeline]

過去問は、大体過去3~5年分くらいを繰り返し解いてみるのがいいです。

試験問題は全科目合計100問なので、5年分だと500問ですね。
500問って少ない!
と感じる方もいると思いますが、建築士の試験問題は1問につき4つの設問があり、正しいものまたは間違っているものをマークしていく形式なので、細かく分けると2,000もの設問があることになります。

これを上記のステップで何回も繰り返してください。

少なくとも3回以上は解いた方がいいですね。

わからない問題を解けるまで粘る人をよく見かけますが、それはやめてください。
わからないものはわからないので、1~2分考えて頭に何も浮かんで来なければテキストを見てカンニングしてください。
そこでわからなかった問題は数日後にもう一度解いてみるなど、重点的にわかるまで反復を繰り返すと効果的です。

法律の改正などにより、過去問の回答が変わってくる場合があります。

学校のテキストや市販の問題集などは法改正に伴って修正を加えているものもあるかもしれませんが、このような観点から過去問を解く以外の勉強も必要になってきます。

そちらに関しては、次の項目で説明しますね。

法律の改正について調べておく

勉強のコツ2つ目は、法律の改正について調べておくことです。
これは資格学校に通っている人であれば学校側で要点を絞ってくれるので楽ですね。
独学で勉強される方は、国交相などのHPに法改正の概要版などが掲載されているので、その辺りの知識は入れておくようにしましょう。

なぜなら、建築士試験では法改正や新しい制度などについての問題も一定割合出題されるからです。
これは新しい情報なので、過去問を解きまくっただけではクリアできません。
少しでも得点を稼ぐために、過去問だけではない新しい知識のインプットも必要になります。
直近では、木造建築や環境問題・法改正にかかわる新傾向の問題の出題が見られます

独学で学ばれる方で一番正確な知識を得られるのは法改正にかかわる部分ですね。
先にも言ったように、それは関係省庁のHPにわかりやすく概要が説明されているからです。

ここで注意して欲しいのが、法改正と言っても施行前のものは出題されないです。
施行前の法律の概要を勉強しても、資格試験という意味ではメリットがないので注意してください。

製図試験は学校にいきましょう

過去問と新傾向対策ができたら、二級建築士の学科試験は学校に通っても独学でもこなすべきことをしっかりこなせば合格可能だと思っています。

しかし、製図試験になると独学だけではかなりハードルが高いです。
どんなに学校での製図演習の授業の成績が良くても、実務で図面を描いていても、製図試験での合格を目指すとなるとかなりハードルが高いです。
制限時間内に手書きで図面を仕上げなければならないので、実務経験があるとか学校では製図の成績が良かったとかいうレベルでは対応しきれないからです。
今時実務で手描き図面を描いている人は珍しいですからね。

製図試験の制限時間は5時間です、この時間の中で、与えられた条件に対してのコンセプトを記述し、法規を遵守した図面を仕上げなければなりません。
学校の授業でも実務でも、5時間で図面を仕上げることはしませんよね。
この時間の中で最低限のクオリティの図面を仕上げ切らなければならないという部分が、製図試験の難しさです。

また、製図試験は学科試験から2ヶ月後に実施されます。
ストレート合格するためには、学科試験までには学科の勉強、試験直後から製図の勉強という流れにならざるを得ないので、短期間で効率的に学び、慣れていく必要があります。
学校では試験に合格する図面の描き方特化したテクニックを教えてくれるので、短期集中で臨むには最適な環境なんです。

製図試験向けに学校に通うと言っても、費用は20万円くらいからかかります。
そんな費用を捻出できない、どうしても独学で!
という方は、下記のポイントを意識すると効率的です。

  1. 学科試験勉強の段階で、製図試験を意識しておく
    製図試験の課題は毎年6月に発表されます。学科試験の1ヶ月前ですね。
    この段階で製図試験に紐付けて知識を吸収しておくと良いです。
  2. エスキスに慣れる
    図面を描く前に、エスキスの段階でまとまらなければ、いくら作図を早くできる人でも手が止まってしまいます。
    作図スピードUPよりも先にエスキスを手際よく進められるように反復練習しましょう。
  3. 計画の要点は定型文化して覚える
    試験の答案には、図面の他に計画の要点を記載する必要があります。
    必要居室や敷地条件などは試験当日までわかりません。
    意外と皆さん計画の要点がうまく書けない人も多いので、あらかじめ定型分化したパターンとして用意しておくと、当日焦らずに済みます。
    例えば、
    採光に配慮し建物配置は◯◯とした
    ◯◯に配慮し動線を分離するアプローチ計画とした

    などですね。
  4. 作図練習はまとまった時間をとる
    試験時間が決まっている以上、ダラダラと作図練習をしても意味がありません。
    速さ重視で、どれだけ丁寧に描けるかです。
    試験時間5時間のうち、1〜1.5時間をエスキス、3.5〜4時間を作図にかけるのがオーソドックスな時間配分です。
    練習では3.5時間以内に図面を描き切ることを意識すると良いです。
    初めはエスキスと作図を分けて練習し、慣れてきたらトータル5時間で完成まで持っていく練習をしましょう。

それぞれ細かいテクニックを挙げればきりがないのですが、それはまた次回にします。

建築士試験の製図はとにかく時間との勝負です。
製図に関しては、とにかく「慣れ」が必要なので、独学で合格を目指す人は学校に通う人に比べて要点を教えてもらえないため、とにかく数をこなす作戦が効果的です。

二級建築士試験勉強の際にわたしがやっていたこと

ここからは、二級建築士の勉強にあたり、わたしが意識してやっていたことをお話ししていきます。
わたし自身マイペースな正確なので、危機感を持つまではあまり勉強時間を確保していませんでした。

本腰を入れたのは5月くらいからですね。

そんなわたしがやっていたことをご紹介します。
※学校に通学している状況下でのお話です。

授業を聞きながら過去問を解く

わたしの場合、資格学校での講義を聞きながら、そこに関連する過去問を一緒に解いていました
講義時間は7時間くらいあったので、1日が終わる頃には半分くらい忘れてしまうんですよね。
一応講義の後に毎回小テストがあったのですが、こちらも間違えた部分の復習を用紙に記入して提出してからでないと帰してもらえなかったんです。

何か良い方法がないかなと思ったときに、
「二級建築士の試験は過去問ベースの試験なんだから、授業を聞きながら過去問を見て紐付けしてしまえばいいんじゃないか?」
と思って実践してみたんです。
そしたら、講義後の小テストでは間違えなくなるし、その後の記憶の定着も講義を聞くだけよりも良かったんですよね。

※これは真似をして効果がある人とない人に分かれると思いますのでご注意ください。

ノートは取らない

資格学校に通っていたので、当然その学校側で作成したテキストを使用していました。
高い授業料を払っているだけあって、過去問の分析や直近の傾向から予測した必要な情報だけが詰め込まれているテキストです。
故に、ノートを取る必要は無しと判断したんですね。

講義中にノートを必死に取っている人がいたんですが、全部テキストに書いてあることなんですよね。
基本的に講義ではテキストの内容をほぼ全て網羅するので、それをノートにメモしたところでテキストの丸写しにしかならないんです。
だったらテキストを読めばいいし、テキストに肉付けしていった方が効率的。

ということで、ノートはほとんど取りませんでした。
その代わりに、講義中には講義内容のインプットと過去問の解答ということをやりました。

テキストは音読する

テキストはさっと目を通した後に、音読しながら読むようにしていました。
ただ目で追って読むだけよりも音読することの効果は証明されているんですよね。

詳しくは別の機会で解説しようと思いますが、
わたしが実際にやっていたのは、ただ文字を拾って声に出すだけではなく、人に説明するような口調で音読するということです。
インプットと同時にアウトプットのことを考えて、言い回しを変えてみたり説明の仕方を変えてみたりということを1度の音読でやっていました。

テキストに書いてある言葉を音読したら、「つまり〜」「例えば〜」と言う形で少し内容を言い換えた説明口調で声に出してみると言うことです。
初めは難しいと感じるかもしれませんがだんだん慣れてきます。

さいごに

二級建築士試験は簡単な試験ではありません。
時間をかければ受かると言うものでもありません。

建築士試験は基本的には働きながら勉強して合格を目指す資格です。
重要なのは時間を無駄にせずいかに効率的することができるかです。

そのための手段として、お金はかかりますが学校や通信教育があるわけです。
これらを利用するメリットは、勉強内容の効率化や合格するために必要なことは全て学校側が整えてくれると言うことですね。自分は学習に集中すれば良いわけです。

独学合格が不可能というわけではないですが、独学の場合は学校側でやってくれる要点の整理や学習方法などを自分で考えなければならないのでハードルは高めです。

わたしでも合格できたので、独学の方も学校に通われている方も、みなさん積み重ねれば必ず合格できます!!

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