建築のコト

時給換算はやめとけ、建築業界のお給料事情

yuu(ゆう)

こんにちは。
yuu(@yu_yu211)です。

今回は、建築業界の給料についてお話します。

一般的に新卒でいくらもらえるとか、平均年収みたいな話は調べればいくらでも出てくるので、簡単に話題に挙げつつ、私の働いてきた経歴からリアルな給料事情について説明していきます。

建築業界は、仕事に慣れて年齢が上がっていくと、平均と比べても高い給料がもらえることが多いです。これは勤務する会社にもよるので、一概に建築業界=頑張ったら高収入とは言えません。

ですが、見た目の高収入に騙されてはいけません。

建築業界では未だ長時間残業が当たり前になっているので、時給に換算するとかなり低賃金に見えることもあります。

残業代が全額支払われる会社であればかなりの高給取りになれるかもしれませんが、ほとんどの会社で残業代は上限を設けて支給されているでしょう。全従業員の残業代を全額支払っていたら経営が成り立たなくなる会社が多いはずです。

時給換算すると酷いとはいえ、実際どれくらいなの?

と気になる方もいるはず。

実際に建築業界で働いている人であれば、他の人の労働時間や収入も気になるはず。

ということで、私の場合を例に挙げて、収入と時給についてご紹介します。

建築業界の労働時間についての詳しい記事は以下です。

【働き方改革に取り残された建築業界】長時間労働の実態と背景

建設業の賃金事情

まずは建設業界のお給料事業についてみていきます。
現場作業員とか現場監督って大変な仕事なのでそれだけ給料も高そうなイメージがありますよね。

建設業の年収推移

下の画像は国土交通省が作成した資料からの抜粋で、建設業における男性労働者の年収推移をグラフ化したものです。

1981年〜2017年までの年収推移がグラフ化されていて、建設業と製造業の年収について比較して見ることができます。

グラフの見方

  • オレンジ:建設業男性生産労働者
    主に現場作業員の平均年収を示しています。
  • 赤:建設業男性全労働者
    現場作業員や現場監督など建設業に従事する全労働者の平均年収を示しています。
  • 青:製造業男性生産労働者
    主に工場作業員として働く人など製造に直接関わる人の平均年収を示しています。
  • 水色:製造業男性全労働者
    製造業界で働く男性全体の平均年収を示しています。
  • 緑:全産業男性労働者
    全ての産業での男性全体の平均年収を示しています。

このグラフを見ると、現場作業員等で働く人の平均年収は、他に比べてだいぶ低いことがわかりますね。

平均年収が450万円程度です。

現場作業員は給料制のところもあれば日当制のところもあります。
大体は日当いくらで考えられることが多いですね。

日当15,000円で、週休1日、月25日程度働いて年収450万円ですね。

建設業全体では、1988年〜1992年に急激に平均年収が上がり、その後徐々に下落、そして、2012年頃から再び上昇しています。

1988年からの上昇はバブル景気の影響だと考えられます。そして、2012年からの上昇は、東日本大震災による復興需要により建設業にお金が集中したことが要因として考えられますよね。

資料にはありませんが、2017年以降もオリンピック需要により建設業の平均年収は上昇しています。

建設業界は2010年〜2020年にかけて公共工事需要が増加したので、好景気を維持してきましたが、これからは公共工事発注も減少していく可能性が高いので、賃金や雇用状況にも大きな影響が出てくると考えられます。

全体平均として見ると、建設業全体の給料は低いわけではなさそうです。

建築設計業の賃金事情

次に、設計士のお給料事情について考えていきます。

今回は、日事連(日本建築士事務所協会連合会)が厚生労働省の公表した「賃金構造基本統計調査結果」をもとにまとめた表を参考にして考えます。

出典:建築士事務所の技術者人件費等について|日本建築士事務所協会連合会

上の画像は、一級建築士の年齢別、企業規模別の月収についてまとめた表です。

1000人以下の従業員数の月給の平均は約46万円です。
賞与や特別手当の年間支給額の平均は約191万円となっています。
ここから年収を計算すると、743万円となります。

従業員数1000人以上の大企業においては、
平均月収約55万円、年間賞与が約369万円となっています。
年収にして、1029万円ですね。

こうやって見ると、建築士ってかなりお給料がもらえる仕事だなと思います。

加えて注目しておきたいのが、残業時間です。
資料によれば、大企業、中小企業いずれも、20代の残業時間が最も多いのですが、従業員1000人未満の企業で44時間、1000人以上の企業で77時間となっています。

働き方改革時代に残業が月40時間〜80時間は多くないですか?
と思うかもしれないですが、業界人の視点で見ると意外と少ない印象を受けます。

20代 建築営業・建築設計職の年収と時給

私の職歴をもとに、リアルな給料事情についてお話します。
20代での給料になるので、30代以降の人はもっともらえるはず。

建築業界は基本的に長時間労働のところが多いので、若手のうちは時給換算すると最低賃金以下になってしまう場合も多いです。

それでは、リアルな数字をご紹介していきます。

20代中盤|建築系メーカー・営業職の年収と時給

20代中盤なので、そもそもの給料が安い。
若手が酷使されやすい建築業界において、営業職の給料がどんなものかご紹介します。

年収|3,200,000円(賞与込み)

月給|240,000円(総支給、各種手当込み)

月所定労働時間|約180時間(1日8時間)

月所定外労働時間|約110時間(1日平均4時間+休日出勤)

時給|827円

営業ですが、インセンティブ報酬などは無し。
残業代支給も無し。
営業成績が悪ければボーナスカット。(数万円くらいはもらえました)

時給は827円です。

全国平均の最低賃金額よりも低く、私が住んでいる県の最低賃金よりは高いという感じです。

20代後半|地方建築設計事務所・設計職の年収と時給

20代後半になっての給与なので、営業職時代よりは高め。ですが、労働時間は長めです。

年収|3,900,000円(賞与込み)

月給|280,000円(総支給、各種手当込み)

所定労働時間|約200時間(1日9時間)

所定外労働時間|約150時間(1日平均5時間+休日出勤)

時給|800円

みなし残業手当として30時間分が給与に含まれています。
大幅な超過がありますが、これは貰えたりもらえなかったり。

時給換算でギリギリ800円です。

これをみてどう感じるかは人それぞれだと思います。私の個人的な考えでは、先ほど紹介した平均値よりもちょっと低いですが、地方勤務で設計事務所勤務の20代後半の給与としては、ちゃんともらえてる方じゃないかなと思っています。

もっと薄給で頑張っていらっしゃる方々も多いはず!!

建築業界で給料を底上げする方法

建築業界で給料UPを狙っていくためには、具体的にどうすれば良いか考えていきます。

具体的な対策は以下の4つです。

建築業界で給料を底上げするための対策

  1. 資格を取得する
  2. 専門性を磨く
  3. コミュニケーション能力を身につける
  4. 転職する

資格を取得する

建築業界で給料アップを狙っていくなら、資格取得は必須要件になります。

現場監督なら1級施工管理技士、設計なら1級建築士が最低限必要な資格です。

2級じゃダメなの?と思われるかもしれませんが、基本的に2級では対応できる仕事の範囲の制約が大きすぎるので、1級の取得が必須です。

厳しい現実ですが、1級資格を取得したからといって、大幅に給料がアップするかと言われればそうではないです。多分資格手当で1〜2万アップがいいところです。建築業界では1級資格を取得してからがスタートラインとも言えます。

専門性を磨く

建築の中にも様々な分野が存在します。

全てに精通して誰よりも詳しくなるには時間が足りません。なので、特定の分野に特化することも重要です。

建築士であれば、構造だったり設備だったり。1級建築士取得後も、構造設計一級建築士や設備設計一級建築士など、より専門性の高い肩書きが用意されています。これらの資格を持たずとも、例えば老人福祉施設分野に特化したり、商業施設デザインに特化したりと、建物の用途別で自分が負けない分野を作っておくことが重要です。

現場監督であれば、2010年以降に大規模木造建築の需要が高まっているので、木造建築の施工知識に特化するなどです。

今後の建築はますます高度な専門性を要求されていくので、これだけは負けないという専門分野を作っておくことで、企業からの評価を得ることができます。

コミュニケーション能力を身につける

建築士や現場監督たちが、専門性のみを身につけたオタク集団では仕事が成り立ちません。

第一線で設計や工事を仕切る人たちは、例外なく顧客とのコミュニケーションにおいても最前線に立ちます。

したがって、責任あるポジションで仕事をするためには、コミュニケーション能力が欠かせません。

それだけでなく、人を納得させる説明力と説得力が必要です。

転職する

給料だけを重視するのであれば、転職するのも有効な手段です。

建築業界は能力主義的な趣向が強いので、資格があって実績を積んでいる人は転職がしやすい業界であるとも言えます。人が足りていない企業が多いので、ステップアップを狙った転職もしやすい状況にあります。人が足りていないので、若手の人も比較的に転職しやすいです。

建築業界はやりがい重視で働く人も多い業界です。やりがい<お金という人は、好条件の企業を見極めて転職し、給料アップを狙うのもアリです。

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