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「ミステリと言う勿れ」話題の人気漫画 ミステリだけど本質はミステリにあらず

yuu(ゆう)

田村由美さんの漫画作品「ミステリと言う勿れ」が今話題に挙がっていますね。
ドラマ化を控えていると言うことの話題性もあり、一気読みしました。

個人的に、ドラマも映画も、小説も漫画も、サスペンス・ミステリー物が好きなので、惹かれるものがありましたね。

この漫画は「ミステリと言う勿れ」と言うタイトルの通り、単純なミステリー漫画では無いです。

今回は、「ミステリと言う勿れ」を読んでわかった魅力や感想を紹介していきます。

「ミステリと言う勿れ」の簡単なあらすじ

主人公の久能整(くのう ととのう)はカレーが大好き、物知りで冷静でちょっと屁理屈な大学生。

ある日、家でカレーを作っていると、突然警察がやってくる。
同級生が亡くなったと言うことで、容疑者として警察に連行されてしまう。

取調べの中で、整は持ち前の洞察力と知識、話術で取調べをする刑事たちに取り入っていく。
少しの違和感にも敏感に反応して逃さない整は、同級生の亡くなった事件の裏に潜む真相に辿り着く—

事件の解決から程なくして、ある日美術館へ行こうと整が乗り込んだバスは、バスジャック事件に巻き込まれる。

バスジャック犯にも、乗り合わせた乗客にも違和感を感じる整。
ジャックされたバスが行き着いたのは、山奥に佇む立派な屋敷だった。
バスジャックを企てたのは、犬堂我路(いぬどう がろ)と言う男。
彼は姉が亡くなった事件の真相を追い求めていた。

この事件をきっかけに、整と我路の間に、妙な絆のようなものが生まれる。

事件後に失踪した我路、我路の姉が亡くなった事件の真相とは?

整は様々な事件に巻き込まれながらも、「事実」に迫っていく。

「ミステリと言う勿れ」の魅力

「ミステリと言う勿れ」を読んで感じた、この漫画の魅力を3つのポイントで話していきます。

主人公「久能 整」のキャラ設定

主人公の久能 整のキャラ設定がとにかく独特です。
アフロのような(アフロではなく天パ)髪型、個性的な価値観、少しの違和感も見逃さない洞察力、大学生とは思えない人生観。
少年漫画の主人公のような独特な見た目でもなければ、強烈な生い立ちを持っているわけでもないのですが、とにかく個性的キャラです。

事件に巻き込まれ、窮地に陥っていても動じずに相手を論破(論破というより諭すの方がしっくり来ますが)していきます。
もはや敏感なのか鈍感なのかよくわからない。
コナン君であればじっと堪えて様子を見そうな場面でも、関係なしにベラベラ話出します。

整の根本には、「人間の心理そのもの」に興味があるという気持ちが強くあります。
故に、語り、会話し、相手を理解するところから整の推理が展開していきます。

とにかく、これまでの推理小説や探偵漫画に出てくるような主人公の洞察力や頭脳、記憶力、冷静さなどを兼ね備えた上で、とにかく整がおしゃべりすることで事件が解決へと向かっていく、今までに例のないキャラ設定がこの漫画の魅力の一つです。

整が語る 言葉の魅力

この漫画は整がとにかく語る漫画です。
普通のミステリーの展開のように、事件を解決に導くためにあれこれ語る場面はそこまで多く無いです。
それよりもメインになるのは、登場人物たちとの会話の節々で整が横槍を入れて語り始める、哲学的とも言える内容の話で、それがまた面白いというかためになるんです。

整が語る話の中に、読んでいて自分が「ドキッ」とするような内容の話もかなりあったり、頷きたくなるような話もあったりするんです。

漫画を読んでいるだけのはずなんですけど誰かに諭されているような、または癒されているような、そんな気分にさせてくれる漫画です。

ただのミステリーではない

この漫画、ジャンルとしては確実にミステリーです。
事件が起きて、その謎を主人公の整が解決に導いていく。
起こっていくそれぞれの事件と、徐々に明らかになっていく大きな謎。

話の展開としては、推理小説やドラマ、他の漫画と大きく変わらないです。

例えば、名探偵コナンでは毎回コナンが違う事件に巻き込まれていきますが、その事件の中で、黒の組織に繋がるヒントがあったり、新しい気づきがあったりして、大きなストーリーがゆっくりと展開されていきますよね。

そういう部分で、物語の進行のしかたは同じなんですが、この漫画は整が語り投げかける言葉の深さや人の感情という部分にも重点を置いています。

事件の伏線や推理の展開が気になる通常のミステリーと違い、整の語る言葉の意味を考えさせられるという意味で、これはただのミステリー漫画では無いですね。

整が語った、胸に刺さる話 3選

ここでは、物語の序盤で整が語った話の中で印象に残った話を3つご紹介します。

娘に嫌われている

手塩にかけて育てた娘に嫌われていて腹が立っている刑事に向けて

娘さんをかわいがって育てた?
なのにお父さん臭いとか汚いとか洗濯物一緒に洗うなとか言い出した?
でもそれ娘さんのせいじゃないですから
生き物としての反応ですから

生き物の多くは父親と子供が一緒に暮らさない
そしたら子供が大人になって父親と知らずに会ったりする
そこで生まれる子供は遺伝子的に弱いわけです
だから遺伝子レベルで警戒警報を出してる
娘さんの中で”この人は相手にしちゃダメだよ”って
その作用なんですよ

娘さんが生意気とか乙部さんが臭いとかじゃ無いんです
育て方を間違ったとおっしゃった
でも逆です
正しく育ってる

小学館「ミステリと言う勿れ 1」田村由美(著) P16~

ゴミ捨て

妊娠した奥さんの機嫌が悪く喧嘩した、忙しいながらもゴミ捨てに行くくらいはやっているという刑事に向けて

ゴミ捨てって家中のゴミを集めるとこから始まるんですよ
分別してなかったらして
袋を取り替えて
生ゴミも水切って
ついでに排水口の掃除もして
ゴミ袋の在庫があるかチェックして
そうやって一つにまとめるんですよそこまでが面倒なんですけど

小学館「ミステリと言う勿れ 1」田村由美(著) P24,25

—俺は袋にまとめたゴミを捨てに行くだけと刑事は言う—

それで感謝しろって言われても
奥さん身体がしんどいんじゃ無いですか

小学館「ミステリと言う勿れ 1」田村由美(著) P25

察する力

妻と子供に出ていかれ、察してくれと言われても説明してもらわないとわからないと言っている男に向けて

僕はまだ社会に出てないのでわかりませんが
そういう能力って知っごとには必要ないんですか?
人の気持ちを察しないとか
言われないとわからないとか
仕事はそれでできるんですか

小学館「ミステリと言う勿れ 2」田村由美(著) P39

—仕事は別、察して出世してきたと男は言う—

じゃあそのスキルはあるんじゃないですか
どうして部下の人や身内にだけ発揮しないんですか?

小学館「ミステリと言う勿れ 2」田村由美(著) P40

こんな人におすすめ

  • ミステリー好きの人
  • ミステリーをまったり読みたい人
  • 仕事や家事に疲れた人

この漫画は、ミステリー好きの方にはもちろんのこと、仕事や家事に疲れている人にもおすすめです。

基本的にはストーリー展開はまったりしていて、ミステリーなんですけどあまり緊張感はないので、まったりと読めます。

主人公の整が語る話には考えさせられる物があり、現実とは切り離された漫画の世界を通して、自分の考え方を見つめ直すきっかけも与えてくれる漫画です。

さいごに

「ミステリと言う勿れ」はいろんな要素をうまく散りばめていて、いろんな人におすすめできる作品でした。

フラワーコミックスαで連載されいるので、女性向けの漫画ではありますが、男性目線から見ても「面白い」です。

2022年1月からドラマ化が決定しているので、今年是非読んでほしい一作です。

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