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映画『オーロラの彼方へ』のレビューと解説 時空を超えて父と息子の絆が未来を変える【ネタバレ有】

yuu(ゆう)

こんにちは。
yuu(@yu_yu211)です。

今回は、映画『オーロラの彼方へ』についてご紹介して行きます。
2000年に公開されたこの映画は、映画ファンの間では隠れた名作として有名です。

主人公が過去に戻ることによって、タイムパラドックスやバタフライ効果が発生し、父を救うために過去を変えた主人公は最悪な方向に進んでいく未来と格闘しながら平穏な日々を取り戻そうとします。

2016年には同じ原題「Frequency」でテレビドラマ化もされており、脚本には定評のある作品ですね。

『オーロラの彼方へ』のレビューと解説を読む前に、映画を観てみたいという方は、『U-NEXT』の見放題で視聴ができます。

『オーロラの彼方へ』の作品情報

 

公開 2000年
監督 グレゴリー・ホブリット
脚本 トビー・エメリッヒ
出演 デニス・クエイド|ジム・カヴィーゼル|ショーン・ドイル
上映時間 117分
関連作品 ドラマ化作品
シグナル/時空を超えた捜査線(アメリカ)|シグナル 長期未解決事件捜査班(日本)|シグナル(韓国)
おすすめ度 [jinstar4.0 color=”#ffc32c” size=”16px”]

『オーロラの彼方へ』の簡単なあらすじ

 1969年、ニューヨーク上空に珍しいオーロラが出現した日、消防士フランクは救助を終え、妻ジュリアと6歳の息子ジョンの待つ家へと戻ってきた。親子3人の生活は幸福な輝きで満たされていた。ちょうどその日のオーロラのように。だが、その2日後、フランクは殉職する。息子ジョンは深い哀しみに暮れる。それから30年。再びニューヨークにオーロラが出現した日、ジョンはふと父が愛用していた無線機を見つける。そしてそこから男の声が聞こえてくる……。まるでそれは父と話しているようだった。

allcinemaより

神話の法則(ヒーローズジャーニー)でみる『オーロラの彼方へ』のストーリー展開

映画『オーロラの彼方へ』のストーリー展開について、シナリオの王道法則とも言われる、神話の法則(ヒーローズジャーニー)にあてはめて見ていきます。

神話の法則ってなに?という方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

面白ストーリーの裏に隠された王道法則『ヒーローズジャーニー』と『神話の法則』

それでは、神話の法則に当てはめて、映画『オーロラの彼方へ』のストーリー展開を見ていきます。

ここからはネタバレを含むので、一度視聴してからストーリーの要点や考察を読んでいただくことをおすすめします。

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第一幕

© 1999 – New Line Productions, Inc

日常生活|幸せな家庭像

太陽フレアの活発化によって、ニューヨークの夜空にオーロラが出現。
消防士のフランク・サリバンは、看護師の妻ジュリアと、息子のジョンと幸せな家庭を築いていた。

冒険への誘い|古い無線機

30年の時を経て、ジョンは大人になり警察官として働いていた。
ジョンの家に遊びにきていたゴードとその息子は、物置でジョンの父が使っていた古い無線機を見つける。
ジョンは久しぶりに無線機のスイッチを入れてみる。
すると、無線機から誰かが呼びかけてくる。
無線機で通信した相手との会話に、ジョンは違和感を感じる。

冒険の拒否|過去と未来の交信

ジョンは過去に発生した看護師ばかりを狙った殺人事件、通称「ナイチンゲール殺人事件」の捜査を担当していた。
捜査から帰宅すると、無線機から男が呼びかけ続けている。
無線機から呼びかけている男は、消防士として殉職したはずの30年前の父だった。
フランクはこの出来事を信じることができない。

賢者との出会い|火災現場からの脱出

明日あなたは火事の現場で死ぬ
もし反対に行けば助かったのに…
ジョンの忠告の通り、火事が発生。
自分が行こうと思った方向とは逆に進んだフランクは無事に火災現場から脱出した。
フランクは無線機の相手が確実に息子のジョンであることを確信する。

戸口の通過|バタフライエフェクト

フランクが死ななかったことにより、未来が変わってしまう。
父であるフランクは殉職ではなく、10年前に癌に倒れた。
そして変わってしまった未来では、生きていたはずの母親ジュリアが死んでしまっていた。
ジョンが追っていた事件にも変化が起こる。
3人が殺されたはずの「ナイチンゲール殺人事件」の犠牲者が10人に増えてしまっていた。
その被害者の中に、ジョンの母、ジュリアも含まれていた。

第二幕

試練、仲間、敵|父と息子

母が死んでしまった未来を変えるために、無線機で交信しながら過去のフランクと現在のジョンが奮闘する。

もっとも危険な場所への接近|被害者を尾行

フランクは犠牲者の一人を見張って後をつける。

最大の試練|犯人との接触

尾行中にフランクは犯人のジャックに襲われ気絶していまう。
犯人はジョンの財布の中から免許証とジュリアの写真を奪って逃走した。
目を覚ましたフランクが犠牲者の家を訪ねると、彼女は殺害されていた。

報酬|犯人の特定

失敗を悔やむフランクでしたが、ジョンは犯人がフランクの財布に触ったことに気づく。
過去のフランクに財布の指紋が消えないようにビニールで梱包し、誰にも見つからない場所に隠すよう指示した。
30年後、財布に残された指紋から、元警察官(30年前は現役)の警察官であるジャックが犯人であると特定する。
ジョンは現在のジャックに接触し、「お前の過去を消し去る」と言う。

第三幕

© 1999 – New Line Productions, Inc

帰路

再び過去のフランクと現在のジョンは無線機を通じて作戦を企てる。
その元にフランクの友人であり現在のジョンの上司であるサッチ刑事がやってくる。
フランクはサッチ刑事により「ナイチンゲール殺人事件」の容疑者として連行されてしまう。
連行された際に揉み合った衝撃で落下した無線機は壊れてしまった。

復活|過去と現在の共闘

警察署でフランクは、サッチ刑事に真実を打ち明ける。
だが信じてもらえるはずなどない。
拘束されたフランクの元にジャックがやってきて、フランクを始末しようとする。
ジャックの脅威を振り切り、警察署から脱出したフランクは、ジャックの免許証から彼の家へ向かう。
ジャックの家で証拠を見つけたフランクだが、戻ってきたジャックに銃で撃たれてしまう。

格闘の末、フランクはジャックに勝利しますが、その後ジャックの死体は見つからない。
無事家に戻ったフランクは無線機を修理してジョンと再び交信する。
未来は変わっていなかった。
未来のジョンの元にジャックが現れ、ジョンを殺そうとする。
過去の世界では、殺したと思っていたジャックがフランクの家に現れる。
子供のジョンが人質に取られるが、ジュリアが身を呈してジャックに飛びかかり、その瞬間フランクはジャックに向けて発砲する。
銃弾はジャックの右手を撃ち抜き、未来の世界でジョンに襲いかかっていたジャックの右手が変化する。
ジョンに襲いかかっていたジャックの背後から発砲がある。
未来の世界に生き残った父、フランクだった。

宝を持っての帰還|取り戻した未来

誰も死なない未来を勝ちとったフランクとジャックは、草野球を楽しんでいた。
30年前に死んだはずのフランクは、タバコを止め、今でも元気に生きていた。
そして幸せな未来を取り戻したジョンとフランクの姿が描かれる。

映画『オーロラの彼方へ』の考察と解説

それでは、映画『オーロラの彼方へ』に関する考察を解説を交えながら紹介していきます。

タイムパラドックスを用いたストーリー展開

『オーロラの彼方へ』はタイムパラドックスやバタフライ効果といった、過去に与えた影響で未来が左右されていくストーリー展開になっています。

タイムパラドックスというのは、タイムトラベルによって生まれる矛盾や変化のこと。

有名なのは「親殺しのパラドックス」です。
過去に戻って、自分が生まれる前の両親を殺してしまった場合、自分は存在しないことになる。
自分は存在しなくなるので、過去に戻って両親を殺すこともできない。
ここに矛盾が生じます。これが親殺しのパラドックスです。

バタフライ効果とは蝶が羽ばたくことで生じるわずかな気流の乱れがどこかで嵐を発生させるかもしれないということからきた、わずかな変化が後に大きな現象を招くこと。

これらの概念を用いたストーリー展開で、過去と未来が目まぐるしく変わっていき、飽きのこない疾走感のある作品に仕上がっています。

過去が変わったことで未来が大きく変化しますが、ジョンには未来が変わってしまう前の記憶も同時に存在します。
この設定があるからこそ、よりサスペンスチックな展開が面白く感じます。

時を経て結ばれた父と息子の絆

『オーロラの彼方へ』は父と息子の絆を描いた物語です。

30年前に亡くなったはずの父と無線機を通じて会話をするシーンには、心が温まるシーンがいくつもあります。

過去の記憶が残るジョンは混乱しています。
周りからは怪しい目で見られるジョン。
唯一の理解者で仲間である父フランクと共に事件に立ち向かっていきます。

事件に立ち向かったフランクとジョンは最終的に未来での平穏な日常を手に入れます。
心温まるアットホームな描写もみどころです。

過去と未来の同時進行が面白い

タイムトラベルものの映画といえば、過去に戻って奮闘し、哀しい未来を塗り替えるというのがオーソドックスなパターンだと思います。

『オーロラの彼方へ』では、過去では父が、現在では息子が同時進行で事件を解決に導こうと奮闘します。
この展開がすごく面白い。

近年の作品だと、「君の名は。」の展開が近いです。

過去と未来がつながっていて、未来から過去を変えるために奮闘する。
移り変わっていく未来に一喜一憂しながら、望むべき未来のために闘います。

過去と未来が同時に進んでいくからこそ、ストーリーの展開に勢いが生まれて映画の世界に引き込まれていきます。

リメイク作品も豊富

『オーロラの彼方へ』は、2016年にアメリカでテレビドラマ版としてリメイクされています。
アメリカでの原題は同じ「Frequency」。
邦題は「シグナル/時空を超えた捜査線」です。

韓国では2016年にリメイク版ドラマとして「シグナル」が放映されています。
韓国版ドラマ「シグナル」は、U-NEXTHuluAmazonPrimeVideoで無料視聴ができます。

日本でも、2018年に「シグナル 長期未解決事件捜査班」としてテレビドラマ化されているんですね。
日本版ドラマ「シグナル 長期未解決事件捜査班」は、U-NEXTHuluAmazonPrimeVideoで無料視聴ができます。

さいごに

『オーロラの彼方へ』は個人的にも大好きな作品です。

ほどよいサスペンス映画でありながら、親子の絆や家族愛が描かれた作品です。

サスペンスに徹しすぎていないところがまた作品の魅力をアップさせています。

まだ観たことのないひとは、おすすめなので是非観てくださいね。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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