本の表紙の著作権は?自由に使うための最適解
当メディアでは本の紹介記事も多く扱っています。
いわゆる書評ブログ的な側面も持ったサイトですね。
本の紹介記事を書く、Twitterで拡散する、Instagramに画像を投稿する。
「この本いいですよ〜」と発信していきたいときは、当然どんな本かを伝えたいし、具体的に知ってもらうために表紙の画像も使いたいですよね。
でも実は、本の表紙画像にも著作権が存在するんです。
許可なく自由に使ってしまうと、著作権法に抵触してしまうんです。
本当におすすめしたい本なのに、文字だけでは不十分ですよね。
買って読んで欲しい本なのに表紙画像がなければ、見た人のイメージも湧きませんよね。
今回は、本の表紙画像を安全に使用するための方法についてご説明します。
本の表紙は著作物
本の表紙は著作物に当たります。
厳密にいうと、表紙のデザインや写真、絵などが創作的表現を持っていれば、著作物ということになります。
本や漫画のタイトルなどは著作物とは言いません。
なので、イラスト表記もなく、デザイン性のないシンプルなタイトルだけ記載された書籍の表紙は著作物という解釈がされない場合があります。
本の表紙の利用上抵触する可能性のある権利
本の表紙を利用するにあたり、抵触する恐れのある権利は2つあります。
複製権(著作権法第21条)
著作物を写真に撮ってInstagramにアップする。
本の画像を掲載してブログ記事を書く。
などといった行為は、無断で行った場合、複製権の侵害に当たります。
Instagramやブログへのアップについては、次で説明する権利にも抵触してきますので、よく理解しておく必要があります。
複製権というのは、著作物を印刷、写真、複写、録音、録画などの方法により、有形的に再製する権利のことを言います。
本の表紙を写真に撮る、本の表紙の画像データを利用するという行為は、複製に当たります。
LINEなどで家族や友人間で共有する程度の利用は私的利用とみなされ問題にはなりませんが、これを社内共有のために行ったり、お店の掲示物のために利用したりすると、複製権の侵害となります。
公衆送信権(著作権法第23条)
公衆送信権とは、公衆に直接受信されるために、著作物をインターネットや放送等で配信する権利のことを言います。
Instagramやブログへのアップは、複製権だけでなく、公衆送信権の侵害にもなる行為なんです。
本の表紙画像を安全に利用する方法
ここからは、本の表紙画像を著作権侵害を侵さずに利用する方法についてあげていきます。
著作権者の許可をとる
これが一番正しい方法ですね。
書籍であれば出版社ごとに画像の利用について取り決めがあるので、その方法に則って出版社の許可を得れば、ある程度は自由に利用することができます。
出版社によりけりですが、多くはWEBサイト上で問い合わせができます。
許可を得る場合は、どういった用途で、どのような内容のどの部分で使いたいのかという部分も問われる可能性があります。
一番丁寧な方法なんですが、許可がもらえるかどうかという問題もあります。
TwitterやInstagramに写真を投稿したいだけなのにいちいち問い合わせをするのはかなり骨が折れますよね。
そもそもSNSへの投稿目的だけでは問い合わせたところで許可がもらえない可能性もあります。
Amazonなどの商品リンク画像を使う
ブログなどではAmazonの商品リンク画像を掲載していることが多いですよね。
商品リンク画像を掲載する場合は、アフィリエイトサービスの規約範囲内での利用であれば、ブログ等のメディアに画像を掲載されることに問題はありません。
これは、著作権法第47条の2の規定の範囲内にあたると解釈されています。
あくまでアフィリエイト用の画像リンクということで、Amazonに掲載の画像をダウンロードしたものを掲載した場合は、複製権の侵害に当たりますので注意が必要です。
画像サイズに関する解釈については、こちらが参考になります。
Twitterなどの公式アカウントから埋め込み
ブログ等であれば、Twitterで公式アカウントが投稿している画像付きツイートを埋め込みすることで、引用という形でブログ上に画像を表示させることができます。
ここでもあくまで引用のルールを守ることが必要です。
引用のルールについては、こちらの記事で細かく紹介しています。
著作権とはどんな権利か? 正しく学んで正しく楽しむための概要と解説
「版元ドットコム」の掲載画像を使う
「版元ドットコム」とは、出版社が集まった会員制の団体で、会員の出版社が作った本の普及活動のために、本の情報がWEB上でデータベースとして公開されています。
ここでは、本の表紙画像が公開されており、書籍の紹介などのために表紙画像を自由に使用してよいものとされています。
これには、個人・企業・図書館など利用者を問われていません。
- 縦横の比率を変えないままのリサイズはOK
- 書影を任意にトリミングするなどの改変はNG
- 書影に含まれるイラスト・写真など一部のみを取り出しての利用はNG
- 書影に任意の、他の文字や画像などを載せて元書影を改変する結果になるような画像編集はNG
- 薄いグレー1色の仮画像になっているものは、版元ドットコムがその書影画像を持っていない。
「版元ドットコム」に掲載されている本の表紙画像であれば、ブログやSNSなどで本を紹介するための画像として自由に使用することができます。
著作権を侵害した場合
著作権の侵害は、基本的に親告罪(著作権者などが捜査機関に著作権侵害について告訴する必要がある罪)となっていますが、2018年の著作権法改正により、一部の要件を満たす場合は非親告罪となっています。
本の表紙画像を用いてブログやSNSで紹介するという行為自体は、親告罪のまま取り扱われる可能性の高い行為ではあります。
しかし、表紙画像を用いるだけでなく、コンテンツが引用の範囲を超えて内容のほとんどを伝えているようなものである場合、著作権者の利益を害する行為として、非親告罪に該当する恐れもあります。
この法的な解釈については、専門家や法的機関の判断により異なる可能性があります。
まとめ
今回は、本の表紙の利用について、関係する法律の説明と具体的な利用方法について解説しました。
結論、本の表紙画像の使用については、「Amazonなどのアフィリエイトリンクの利用」もしくは「版元ドットコムの活用」が最もお手軽です。
著作権の侵害は、最悪の場合ブログの閉鎖やSNSアカウント等の停止を招く恐れのある行為です。
著作権のルールを守り、正しく行動することは、自分のメディアを守るためにとても重要なことです。
間違っても、気軽にダウンロードした画像などを使ってしまうことの無いように注意しましょう。
著作権とはどんな権利か? 正しく学んで正しく楽しむための概要と解説