映画『BABEL(バベル)』のレビューと解説 1発の銃弾から始まった混乱と悲劇の連鎖
こんにちは。
yuu(@yu_yu211)です。
今回は、映画『BABEL(バベル)』についてご紹介していきます。
『BABEL(バベル)』は2006年公開のヒューマンドラマ映画。
2007年アカデミー作曲賞、2006年カンヌ国際映画祭監督賞などを受賞している作品です。
モロッコの荒野で放たれた1発の銃弾から始まった悲劇から、モロッコ・アメリカ・メキシコ・日本と遠く離れた地で生きる人物たちの人生が交差していきます。
主役のリチャードを演じたのはブラッド・ピット。
日本人役者としては、役所広司さんや菊地凛子さんが出演されています。
シリアスな話の展開で、特に日本での出来事を映した描写はかなり重い雰囲気になっているので、日本人がこの映画をみた場合の評価は賛否両論かもしれませんね。
それでも、『BABEL(バベル)』の背景には奥深いテーマが潜んでおり、主旨を理解して観ると面白い映画です。
『BABEL(バベル)』の作品情報
年公開 | 2006年 |
---|---|
監督 | アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ |
脚本 | ギレルモ・アリアガ |
出演 | ブラッド・ピット|ケイト・ブランシェット|役所広司|菊地凛子 |
上映時間 | 143分 |
おすすめ度 | [jinstar3.5 color=”#ffc32c” size=”16px”] |
『BABEL(バベル)』の簡単なあらすじ
モロッコを旅行中のアメリカ人夫婦のリチャード(ブラッド・ピット)とスーザン(ケイト・ブランシェット)が、突然何者かによって銃撃を受け、妻が負傷するという事件が起こる。同じころ、東京に住む聴覚に障害を持った女子高生のチエコ(菊地凛子)は、満たされない日々にいら立ちを感じながら、孤独な日々を過ごしていた……。
シネマトゥデイより
『BABEL(バベル)』の感想と解説
ここからはネタバレを含むので、一度視聴してからストーリーの要点や解説を読んでいただくことをおすすめします。
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『BABEL(バベル)』で描かれた世界観の背景
『BABEL(バベル)』が公開されたのは2006年です。
2001年に発生した911同時多発テロ事件の恐怖がまだまだ拭いされていない時期。
映画の中でも、スーザンが銃弾に倒れた事件は真っ先にテロであるという見方が最優先されている。
この辺りは、当時の時代背景や考え方が強く反映されている部分です。
また、トランプ元米大統領がメキシコ国境に壁を建設する計画を掲げたのはまだ記憶に新しいですね。
アメリカ・メキシコ国境を越えた不法移民問題には長い歴史がありますが、この映画が公開された2006年にはブッシュ元米大統領が国境警備隊支援のための施設建設計画を発表するなどしています。
実際に映画の中でも、アメリアを媒介として不法入国や不法移民問題が取り上げられています。
『BABEL(バベル)』のタイトルに込められたテーマ
『バベル』とは、旧約聖書で登場する、
バベルの街に建てられた塔、『バベルの塔』のことです。
バベルの塔は旧約聖書「創世記」第11章に登場します。
ノアの子達は天に届く高い塔を作ろうとしていました。
それを見た神は怒り、人間がこのような行いをしようとするのは、人間は一つの民であり同じ言葉を話しているからだと考えました。
そこで神は、人々の言葉を乱し、その結果人々は各地に散り散りになってい来ました。
こんな感じの話です。
「バベル」とは旧約聖書において「混乱」を意味すると言う解釈があり、
そのことから、人々が塔を作ろうとしている街は「バベル」と名付けられました。
この映画では、そんな「バベル」にまつわるテーマを元に、言葉や心が通じない世界においての人間のつながりを描いた作品です。
時間が入り乱れ描かれた演出
映画といえば、明確な主人公がいて時間軸がはっきりしているものが一般的です。
映画「ハリーポッター」でいえば、
親戚家族に引き取られ暮らす普通の少年ハリーが
ホグワーツ魔法学校へ入学し
ハーマイオニーやロンと言う仲間を見つけ
悪の魔法使いヴォルデモートの脅威と対峙しながら成長を遂げていく。
大雑把に言うとこんな感じの流れになり、物語の展開と映画の描写が時間経過に沿って描かれています。
『BABEL(バベル)』においては、実際の時系列の順に映画が進行していくわけではありません。
アメリカ人旅行者のリチャードとスーザンを襲った悲劇とその後に起こった遠い異国の地で起こった出来事が入り乱れるように描かれています。
日本やアメリカ・メキシコで起こる出来事は、本来はスーザンが一命を取り留めた後の話なのですが、作中では同時進行的に描かれていきます。
こう言った時系列が曖昧に描かれた映画はちょっと珍しい。
主人公は誰なのか
この映画は主人公の人生観や生き様を描いたような映画ではありません。
キャスト的にも、物語の出来事的にも、主人公は間違いなくブラッド・ピットが演じたリチャードです。
しかし、映画の中では、
ライフルでスーザンを撃ってしまったモロッコの遊牧民の兄弟
妻をライフルで撃ち抜かれたリチャード
リチャードの子供達の面倒をみるメキシコ人のアメリア
耳が聞こえない少女千恵子
それぞれが主となる登場人物であるかのように描かれています。
ここにも、この映画のテーマとなる「バベル」
「バラバラになった人々」それぞれが主として描かれています。
さいごに
映画『BABEL(バベル)』はアクション映画のような派手さも、サスペンス映画のようなハラハラドキドキ感もありませんが、コミュニケーションの重要性を示唆した映画です。
作品に込められたメッセージ性やテーマが難解であるが故に、見る人によっては訳がわからず高い評価が付けられない映画でもあるかもしれません。
こう言った映画は、作品の背景には何があるのかと言うところまで読み取った上で見てみると、得るものが大きかったりします。
落ち着いた週末の夜に一人で見て考えるのがおすすめの映画ですね。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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