F「真夜中乙女戦争」の感想レビュー 絶望と破壊の先に待っていた後悔
Fさんの「真夜中乙女戦争」を読みました。映画化が決定しており、2021年度冬に公開が予定されています。
ジャンル的には何に該当するんでしょう?
青春?恋愛?
Wikipediaによれば、青春・犯罪・恋愛小説となっていました。
主人公が過去に対する後悔を回想していくような書き回し。
独特な雰囲気を持った作品です。
結構重い雰囲気の作品なんですが、結末に近づくにつれて、本が手から離れなくなってしまいました。
謎多き作品で、結末を迎えても綴られていない謎が残されたままです。
何度も読み返して、考察を楽しめる、良い作品だと思いました。
F「真夜中乙女戦争」のあらすじ
友達はいない。恩師もいない。恋人もできない。好きな人の好きな人は私ではない。夢も趣味も特技もない。InstagramもTwitterもYouTubeもくだらない。なにもかもが眩しく、虚しく、どうでもいい。
東京で一人暮らしを始めた大学一年生の「私」は、夜になっても眠ることができない。やりたいこともなりたいものもなく、無気力な日々の中、「私」はサークルに入り冷酷で美しく聡明な「先輩」と出会う。しかし彼女一人を除いて誰とも馴染めず、すぐそのサークルとも疎遠となる。そんな「私」を唯一潤わしたのは、毎晩のように東京タワーの近くまで歩いて行き、毎晩のようにタワーだけを眺め続ける、そんな無意味な行為だけだった。 講義にもサークルにも行かず、散歩をするか、あるいは図書館で勉強を続けるだけの生活に半ば絶望していた夜、図書館横の喫煙所に佇んでいると見知らぬ男が「火、ある?」と声を掛けてきた。
この男との出会いが、これから起こることのすべて―悪戯、銅像破壊工作、大学破壊工作、暴動、そして東京破壊計画―つまり、最悪の始まりだった。一方、「私」と「先輩」の距離はだんだんと接近していく……。本当の仲間とは、家族とは、愛とは――。
「真夜中乙女戦争」の書籍情報
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F「真夜中乙女戦争」を読んだ感想とレビュー
毎日が退屈で、虚無感に苛まれる。
だからと言って、無駄なことに時間を裂きたくない。
何もかもが無駄に思える。
破壊してリセットしてしまいたい。
誰でも一度は思ったことがあるのでは?
大学1年生の主人公が自分の存在意義と生きる楽しみを見つけた先に待っていた結末は・・・哀しい破壊の物語でした。
現実に悲観していた主人公
退屈していた、でも無駄なことはしたくない。
悲観的で捻くれ者の主人公。
物語上での名前は無い。
東京タワー。
主人公が「東京タワー」抱いたに抱いた愛と憎しみ。
先輩、黒服、常連との出会い。
エスカレートしていく破壊的衝動。
燃え落ちていく「東京タワー」の展望台で、後悔と過ちを振り返る。
そんな主人公の破壊の物語。
主人公は、大学1年生で、友達無し、恋人無し、やりたいことも無し。今に希望を持てない主人公は、サークルの先輩への恋や謎の黒服への好意(愛?)を通して、楽しさを見つけていきます。そして、楽しさも束の間、黒服は東京破壊計画=真夜中乙女戦争を実行します。正気に戻った主人公は、この計画を阻止しようとしますが・・・
主人公はごくごく普通の大学生でした、
変わったところといえばちょっと屁理屈で、捻くれ者なくらい。
こういう人って結構普通にいると思いますし、主人公が言っていることにも少し共感できるかなという感じです。
黒服と出会ったことで、廃墟を勝手に使って映画館を作ったり。2人で鑑賞するのにも飽きたので仲間を募ったりとしていき、楽しそうな描写が中盤くらいに結構あるのですが、やっていることはほぼ犯罪という、とにかく黒服が無茶苦茶な人なんです。
黒服と主人公
「黒服」はこの物語において最も重要な人物として登場します。
無茶苦茶で、破壊的な黒服は、大学生にして資産を築き上げ、退屈な日々を送っていました。
黒服は何をやっても失敗しない、皆から好かれる存在です。
この物語では、絶対的な存在として登場します。
他人に心を寄せない主人公ですが、黒服には、あった瞬間から絶大な好意を寄せています。
黒服は物凄い勢いで仲間を集め、東京破壊計画を企てます。
そこには当然主人公も中心人物として存在していました。
主人公は黒服に、どこか自分に似たものを感じ、自分には無いものを感じ。同じであるようで違う存在、主人公の願望を映したのが黒服であるように感じました。
先輩と主人公
主人公が入ったサークルで、先輩と出会います。
先輩は美しく、気丈な性格。
どこか優しく、どこか悲しげ。
そんな先輩に主人公は惹かれていきます。
これが愛という感情なのか、もやもやしていた主人公ですが、最終的には、先輩への愛に気づきます。そして、破壊的衝動を軸に動いていた主人公は、先輩を守るという行動に出ます。
人を愛することも、友達を作ることにも興味のなかった主人公は、先輩を通して愛に気づき、我に返ったのではないかと思います。
まとめ
この小説は、特に好き嫌いがはっきり分かれそうだと思いました。主人公と黒服の行動の描写は、かなりセンシティブな内容になっていて、読む人を選ぶ作品だなと思います。
個人的に、この小説は、破壊と再生の物語なのではないかと思いました。
世の中を斜めに見て、ただひたすらに悲観した主人公と退屈な世の中に嫌気がさした黒服の、東京破壊計画というストーリーの軸に対して、冒頭では主人公の後悔から描かれ、主人公による回想という形でストーリーが展開していきます。
世の中に絶望した主人公の破壊行動が進む一方で、先輩という存在が愛に変わった時に、主人公の中で破壊<愛という感情が芽生えます。
もっと早く気づいていれば・・・
と主人公は思いますが、時すでに遅し。
最後の展開で、主人公はおそらく、自己の根本的な部分を破壊することで、先輩を守るという選択に至ったのではないかと思います。
主人公の心は、どんどん破壊に蝕まれ、自己の心まで崩壊しかけたところに、先輩という存在が気づきを与えてくれた。そういう心の破壊〜再生までを描かれていたのではないか。
また、物事を斜めに捉える人に対して、素直になることの大切さを説いた作品であるのではないかと感じました。
そもそもこの本、ストーリー自体はシンプルというか、粗っぽい部分が多い感じなのですが、難解な言い回しで、主人公の捻くれた性格を表現しており、言い回しが難しい故に、読んでいて「???」となる部分が多々存在します。
登場人物たちも、存在感がはっきりしないものが多いので、最後まで読んだときに、どういうこと?という疑問が残ります。その疑問に対して、作中に明確な答えは無いので、何度か読んで自分なりの解釈で納得するしか無いかな。
社会や世の中に疑問を感じている学生とか、20代の人とかにはおすすめできる作品だと思います。
小説を読んで考察するのが好きな人にもおすすめです。
何度か読んで自分なりの考察がまとまったら、この本についての考察記事を書いてみようと思います。
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