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西尾潤『マルチの子』の感想レビュー マルチ商法の世界を舞台に繰り広げられるビジネスサスペンス

yuu(ゆう)

こんにちは。
yuu(@yu_yu211)です。

今回は、西尾潤さんの『マルチの子』を読んだ感想を紹介します。
著者の西尾潤さんはヘアメイクスタイリストでありながら、2019年に小説家としてもデビューしています。

『元彼の遺言状』の著者である新川帆立さんがツイッターで面白いと発信していたので、
西尾潤さんの『マルチの子』手にとってみました。

家族のために始めたMLM(マルチレベルマーケティング)がこれほどまでに主人公を泥沼に引き摺り込んでいくとは…
承認欲求に溺れた主人公は、大切な何かを見失って突き進んでしまいます。

危ない!危ない!!危ない!!!
声に出してしまいそうになります。
主人公の行動から目が離せません。

それでは、『マルチの子』について詳しくご紹介していきます。

この本はこんな人におすすめ

  1. MLMをやっている人
    わかる!っていう描写や展開が多く描かれているはずです
  2. MLMの世界に興味がある人
    MLMの基礎的な部分や取り組んでいる人の日常がリアルに描かれています
  3. サスペンス好きな人
    こてこてのサスペンスではないけれど、ビジネス世界を舞台にしたサスペンスものです

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西尾潤『マルチの子』のあらすじ

賢い姉、愛らしい妹に比べて自分には何もない。
夢を持てず、鹿水真瑠子は毎日をなんとなく過ごしていた。
そんなある日、バイト先の掲示板で不思議な貼り紙を目にする。
「磁力と健康セミナー・無料開催」
それは地獄への扉だった――。
認めてほしい。
ただその一心で始めただけなのに、どうしてこんなことになってしまったのだろう。
マルチ商法にハマった女性の“乱高下人生”をリアルに描く、ノンストップサスペンス!

徳間書店HPより

『マルチの子』の書籍情報

著者 西尾 潤
発行日 2021年6月
発行元 徳間書店
ジャンル サスペンス
著者のその他作品 愚か者の身分

西尾潤『マルチの子』を読んだ感想とレビュー

それでは『マルチの子』を読んだ感想とレビューについてお話していきます。

MLM(マルチレベルマーケティング)の裏側を描いた物語

マルチ商法というと聞こえが悪くなりかねないので、ここではMLM(マルチレベルマーケティング)と言うことにしますね。
他にもネットワークビジネスなんて言われ方をしますよね。

この本からは、MLMってどんなものなのか?と言う部分も学び取ることができます。
MLMといえば、ア◯ウェイとかが有名になりましたよね。

ストーリーの中で主人公である真瑠子はMLMの世界に没頭し、徐々に成長を遂げていくんですが、その過程の中で真瑠子がやっているMLMに興味を持っている人に説明をするシーンが登場します。
当然真瑠子は素人相手に興味を持ってもらえるような会話をしていくので、MLMとはどういったものなのかとか、どういう仕組みでお金が稼げるようになっていくのかとかその辺は真瑠子が詳しく説明してくれるわけです。

実際に勧誘を受けたことがある人であればわかると思いますが、あんな感じの会話を真瑠子が熱心にしています。

私自身はMLMをやったことがないので、裏側がどんな感じなのかわかりませんでしたが、正直かなり大変そう。
自分が引き入れた会員の成績が自分の報酬に響いてくるので、下にぶら下がっている人たちのサポートをするのも結構大変そうだなって感じです。

そしてMLMをやっている登場人物の方々が結構ポジティブ。
意識高い系というかなんというか。
それでも内心不安や焦りがあったり、自信がなかったりするんですね。
その辺りの真瑠子の心情もリアルすぎるくらいに描かれています。

挫折、成功、挫折

真瑠子はとにかく危なっかしい。
そもそも真瑠子がMLMを始めたのも、姉や妹と比較されて何の取り柄も無い自分でも、家族のためになりたいという気持ちからです。
おそらくそこを上手くつつかれて勧誘されたんだろうなという感じ。
そんな純粋な真瑠子は褒められると弱く、金銭的な面での向上心が強い女性なのでMLMの世界に染まりとにかく突っ走ってしまいます。

初めは成績が振るわない真瑠子ですが、真瑠子を姉御と慕い入会してくれた竹田の協力もあって、徐々に成績をあげていきます。
そんな真瑠子もいつまでも上手くいくわけではなく、やがて多額の借金に苦しみます。
そして手を出してしまった今流行りのアレ(仮想通貨関連)で大成功!?かと思いきや…

一度成功という甘い蜜を吸ってしまった真瑠子は、もう一度返り咲くためにどんどん周りが見えなくなっていってしまうんですね。
気づいた時にはもうとんでもないことになっています。

クライマックスに近づくに連れて、真瑠子は大変な状況に陥っていくんですが、実際にあり得そうな妙なリアルさがあるんですよね。
著者の体験談も元にされているということなので、もしかしたら実際に体験されたことなのかもしれません。
そんな中で右往左往する真瑠子や周りの人たちの情景や感情が読んでいてすっと入ってくる感じがします。

著者が大阪出身ということもあってか、大阪を舞台にしているのですが、登場人物は皆さんほとんど関西弁なので描写に抑揚が生まれて、それが逆に親近感を持って読者が作品の世界に入り込みやすくなる仕掛けになっているような気がします。

まさに承認欲求地獄

この本の帯には、「承認欲求地獄へようこそ」とキャッチコピーが書かれているのですが、まさに真瑠子は承認欲求に取り憑かれて苦しい状況に陥っていきます。

最終的には承認欲求と金銭的苦痛から、本来気づけるべきところに気づけなくなってしまう真瑠子。

クライマックスが近づくに連れて、「真瑠子!目を覚ましてくれ!」と語りかけたくなるような展開はとても面白かった。

誰でも褒められたら嬉しいし誰かの役に立って生きていたいと思うものです。
それが人間の本質的部分でもあるのかと思います。

真瑠子の場合は、承認欲求が強くなりすぎたが故にどんどんドツボにハマっていってしまいます。

さいごに

序盤は真瑠子の日常的な描写が描かれていてのんびり進んでいくので、展開に抑揚が無く、正直ちょっと読みづらいかなという印象でした。

ラスト100ページくらいで一気にストーリ展開が加速していくので読み応え抜群です。

興味を持たれた方はぜひ読んでみてくださいね。

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